人々を不幸にするお金の仕組み(20208月某ミニコミ誌に掲載したもの)

 

 

      

@               ロスチャイルドが作った金融システム

 

私たちが使っている「お金」とは何か?「お金」に常に付きまとっている「利子」とは何か?

私たちは何の疑いもなく「お金」を使い、「お金」を預ければわずかばかりの「利子」が付き、借りれば膨大な「利子」を払っていると思う。

しかし、私たちが食品や日用日を買うために使う「お金」と、株式や債券、資本や国家予算の何億円、何兆円というコンピュータ上を飛び交う「お金」と

桁が違うというだけでなく、明らかに異質のものだと思う。

「お金」の背後に国家があり、その信用によって「お金」の価値が成り立っている「共同幻想」である。

「お金」は各国の中央銀行が発行する。

中央銀行は国家の一つの機関と思っている人は多いと思う。

しかし、中央銀行は実は民間銀行である。

米国のFRBは完全な民間銀行である。日本銀行も五十五%の株式は日本政府が持っているが、残り四十五%は民間資本である。

公表されていないので、誰が持っているかわからないが、外国の金融資本であろうと想像できる。いわば半官半民の企業である。

民間銀行である中央銀行が「お金」を発行し、「利子」を取って政府に貸し付ける。「利子」は政府が支払う、ということは国民の税金で支払われる。

 

このような金融システムの起源は、ドイツ・フランクフルトのユダヤ人両替商マイヤー・アムシェル・ロスチャイルド(一七四三年〜一八一二年)といわれている。

当時ヨーロッパのユダヤ人は迫害されて、狭いゲットーに押し込められ、職業も限られていた。両替商や高利貸しはユダヤ人の重要な職業であった。ユダヤ人はなぜ迫害されたのか?

一つには、ユダヤ教は異教徒を人間として認めないという選民思想があるためといわれている。

キリスト教やイスラム教では「利子」を取ることは宗教上禁止されていた。

ユダヤ教では異教徒から「利子」を取ることを認めている。

 

一国の通貨発行権を私に与えよ。そうすれば誰が法律を作ろうとかまわない。

(M・A・ロスチャイルドの言葉)

 

M・A・ロスチャイルドは通貨発行権さえ握れば、金融を、ひいては国家を支配できると考えたのだろう。

M・A・ロスチャイルドの子供たちがヨーロッパ各地に支店を開設し、力を蓄えていった。

M・A・ロスチャイルドの言葉通りのロスチャイルド一族は現在に至るまで世界の金融を支配し続けている。

 

A               金融システムと戦ったアメリカ大統領

 

FRBが発行するドル紙幣をじっくり見たことはないが、一九七一年ニクソンショックまでは、ドル紙幣には金と兌換できると書いてあり、兌換券であった。金本位制崩壊以降、ドル紙幣には「借用書」と書いてあるらしい。

 

民間銀行が通貨を発行する金融システムに疑問を持って政府に通貨発行権を取り戻そうとした歴代の米国大統領は暗殺されか、もしくは暗殺未遂にあっている。

 

トーマス・ジェファーソン(第三代大統領)は銀行資本と戦い、二度も暗殺未遂にあった。

「銀行は軍隊よりも危険である。我々が一度でも通貨の発行を任せてしまったなら、銀行・企業は強大になり、人々の住む家までも奪い尽くすことになるだろう。」

 

エイブラハム・リンカーン(第十六代大統領)はグリーンバ

ックダラーを発行し暗殺された。

「通貨を製造・発行し流通させるのは政府の最も大切な仕事であり、その法則を守れば納税者は莫大な金利を払わずに済む。そして人々がお金に仕えるのではなく、お金が人々に仕えるようになるのである。」

 

J・F・ケネディ(第三十五代大統領)は政府発行のドル紙幣を作り、暗殺された。

 

 

 

B               M・A・ロスチャイルドの時代以降何があったか?

 

簡単に歴史を振り返ると、

フランス革命、産業革命、アメリカ南北戦争、明治維新、日清日露戦争、第一次世界大戦、ロシア革命、世界大恐慌、ナチスの台頭、第二次世界大戦、冷戦構造、キューバ危機、べトナム戦争、ソ連崩壊、冷戦崩壊、湾岸戦争、アメリカの台頭と急激な凋落、九・一一、バブルの発生と崩壊、中国の台頭。等々(漏れがあるけれどご容赦を。)

 

戦争するにはお金が必要である。金融資本は戦争国双方、内戦であれば双方の勢力に膨大な融資をしている。

どちらが勝っても儲かる仕組みになっている。例えば明治維新も日清日露戦争もロスチャイルドの金融資本が絡んでいる。

幕末に暗躍した武器商人グラバー商会は、中国のアヘン取引に絡んだマセソン商会の日本支店。マセソン商会の大元はロスチャイルドである。

この二百数十年は、戦争と動乱に明け暮れた同時に、科学技術が急激に進歩し、資本主義は発展していった。こうして金融資本は肥え太っていった。

 

C               冷戦構造

 

ロシア革命の総括は難しいと思う。

しかし一面では次のことが言えるだろう。マルクスは「資本主義が高度に発展した次の段階に共産主義がある」と言った。

ロシア革命は帝政ロシアを打倒した。

帝政ロシアは資本主義が発達する以前のむしろ後進国であり、ロシアで共産主義革命が起こったことが悲劇始まりであった。

ソ連は結果として歪な全体主義国家に変質してしまった。

中国も同じことが言える。資本主義が発達する前に共産主義革命が起こってしまった。

マルクスの言う「共産主義」は歴史上存在したことはなかったし、歴史の検証を受けていない。

 

 

冷戦構造の唯一のメリット。

「資本主義」陣営諸国は、自国の労働者が「共産主義」に走らないために、労働者の権利を認め、労働法を整備し、労働者の生活向上に努めた。その結果「分厚い中間層」が形成された。

日本では「一億総中流」と言われた一九六〇年代〜一九七〇年代であった。参考文献『21世紀の資本』トマ・ピケティ著の中で指摘している「最も格差が縮まった時代」であった。

ソ連が崩壊し、冷戦構造が終結して、「資本主義」は「共産主義(エセ)」に勝利したと宣伝された。

これによってタガが外れ、もはや労働者を保護する必要が無くなった。

むき出しの「資本主義」になり、「新自由主義」「グローバリズム」「金融資本主義の暴走」、という形で表れている。

もはや労働者、庶民は金融資本にとって「搾取と収奪」の対象でしかなくなった。

 

D               資本主義の今

 

資本主義は人類の歴史上最も凶悪な文明というだけでなく、我々の心の中に「人間であることの恥」を導入した文明でもある。

そして資本主義はまた労働・科学・技術が人類の歴史の中で際立った特権(絶対的)を生み出して、あらゆる種と、種を住まわせている地球の消滅(絶対的)の可能性も作り出した文明でもある。

参考文献『戦争と資本』からの引用

 

冷戦構造が崩壊し、かくしてロシアも中国も資本主義の入口に立たされた。

そして急激に資本主義的経済発展を遂げつつある。

政治体制は全体主義的独裁を維持したままである。

特に中国は全世界に散らばっている華僑にみられるごとく、商売上手である。

もともと資本主義とは親和性が高い。さらに資本主義にとって重要な要素である膨大な「人口」を抱えている。

中国共産党」という名の王朝が独裁的権力を握っている資本主義国家であると考えた方が良いと思う。

 

 現代の為政者は、暗殺された歴代の米国大統領のように中央銀行と戦おうとしない。

その問題意識も忘れ去られている。むしろ国家権力と金融資本が一体となって「富の偏在」を加速させている。

 

「新自由主義」「市場原理主義」「競争至上主義」「グローバリズム」「金融資本主義の暴走」と呼ばれる「弱肉強食」のむき出しの「資本主義」の状態である。

「非正規雇用」が拡大し、労働法、労働三権(団結権、団体交渉権、争議権)など有名無実な存在になっている。

 

 「新自由主義」の一つに「何でもかんでも民営化」という方向がある。

アメリカなど戦争まで民営化してしまった。

この方向性は人々を不幸にする。昨今のコロナ禍で顕在化した、国立病院の独立行政法人化、保健所の削減もその一環である。

ふたを開けてみたら日本の医療はかなり劣化させられていた。

医療、福祉、教育、ライフラインに関するもの等いわゆる「公共」については民営化(会社化)による金儲けの道具にしてはいけない。

民営化してはいけないもの、規制緩和をしてはいけないもの、しっかりと規制しなければいけないものが存在する。

  

参考文献『ショック・ドクトリン』にみられるごとく、惨事便乗型資本主義が横行している。

すなわち災害など惨事で人々が茫然自失に陥っている時に、ドラスチックな新自由主義的施策を強行してしまう。

つまり火事場泥棒的所業である。日本では、地震、津波、原発事故、水害、コロナ禍においてこれが見られる。

 

 

しかし資本主義は確実に行き詰って限界に近づいている。労働者、庶民はますます貧しくなり、金融資本はますます肥え太るが、金融資本は行き場を失っている。

資本主義にとって必要な開拓する分野、地域は無くなりつつある。政治は腐敗堕落を深めている。

地球環境も、人間の共同体も破壊され、人間の心まで蝕まれている。

「資本主義の限界、終焉」「ポストキャピタリズム」の議論は始まっている。

 

 

参考文献

 

『金融のしくみは全部ロスチャイルドが作った』阿部芳裕著

『赤い楯―ロスチャイルドの謎』広瀬隆著

『21世紀の資本』トマ・ピケティ著

『ショック・ドクトリン』ナオミ・クライン著

『戦争と資本』エリック・アリエズ/マウリツィオ・ラッツァラート著

『資本主義の終焉と歴史の危機』水野和夫著

『未来への大分岐―資本主義の終わりか、人間の終焉か?』

マルクス・ガブリエル/マイケル・ハート/ポール・メイソン/斎藤幸平編

『エンデの遺言』(これはNHKスペシャルのテレビ番組、

YouTubeで視聴可能です)

 

 

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